離婚そして退院
退院する前私は離婚した。やっと夫が離婚届にサインしたのだ。彼は昔の様にゴルフ会員権の仕事をしてなくて、普通のサラリーマンだった。何度も私のために保険証を書き換えていた。その頃の彼には私の入院は大きな負担だったであろう。
夫は私が入院している時、三回ほど面会に来た。私は来る前に電話で、お菓子持ってきてとかスーツ着てきてと命令した。夫はスーツを着てお菓子を持ってきた。私は同じ病錬の親しくしていた数人にお菓子を配った。皆、 ありがとう と感謝した。差し入れは喜ばれるものだ。
夫は私の両親と相談して、離婚したと私に告げた。間こそあるものの八年間付き合ってきて、たった三ヶ月間しか結婚生活がなかった相手との別れはつらいものかもしれない。だが私はその時何も感じなかった。あの頃の私はまだ若くて、次の事を考えていた。今思うと次なんてありやしないのに。
退院の日、同じ病錬で親しくしていた男からバラをもらった。花をもらうなんて何年ぶりだったであろう。私は少し満足した。
迎えに来た車は、ここに来た時のBMWではなくて、家の車だった。離婚をしたのだから当たり前だが。父が迎えにきた。ようやく三ヶ月経って私は退院した。短いようで長い入院生活だった。
退院した頃、ほとんど天使の声は聞こえなかった。だがここで終わりと言うわけではなかった。地獄のような日々を過ごしたのは、もはや過去に思えたのだが。


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